早期退職してフリーランスになる人は、
退職する際に自分の退職後のフリーランス
としての生活を具体的にイメージしながら、
色々なことを選択し決めることになります。
その一つに、健康保険があります。
選択を誤ると退職後の支出を無駄に増やす
ことになってしまいます。
この記事では、
早期退職してフリーランスになる人が
健康保険料を最小化する方法
について、具体的にわかりやすく説明します。
この記事を読めば、
早期退職してフリーランスを目指す方が、
健康保険料について退職前に見積もり、
自分に最適な選択をすることによって
より安心な退職後のフリーランス生活が
送れるようになりますので、
是非最後まで読んでみてください。
早期退職してフリーランスになる人の健康保険の種類
早期退職を含めて退職すると健康保険は、
通常以下の2つから選択しなければ
なりません。
①会社の健康保険を継続
(任意継続 最大2年間)
②国民健康保険に加入する
このどちらを選択するかによって、
退職直後の2年間の支出が大きく変わります。
退職直後は通常収入が大幅に減りますので、
賢く健康保険を選択し、支出を抑えましょう。
会社の健康保険の任意継続と国民健康保険の保険料の違いを計算する
まず、会社の健康保険の任意継続の場合と
国民健康保険に切り替えた場合で、
保険料にどのくらいの違いがでてくるのか
知ることが必要です。
会社の健康保険継続の場合(①の場合)の保険料計算方法
会社の健康保険継続の場合の保険料は、
退職時の標準報酬月額x任意継続時保険料率
で算出されます。
計算するには、まず保険料率を調べます。
保険料率は、会社によって異なるため
会社の健康保険組合のホームページで調べ
るか、電話を掛けて聞くとわかります。
保険料率には、
健康保険の会社負担分と本人負担分
介護保険の会社負担分と本人負担分
がありますので、これら4つの保険料率を
全部調べます。
標準報酬月額は、給与明細の健康保険料
を本人負担分の保険料率で割って算出します。
算出した標準報酬月額に上記で調べた4つの
保険料率をすべて足した保険料率を掛けると
会社の健康保険を継続した場合の保険料が
算出されます。ただし、上限がありますので
それも会社の健康保険組合に問い合わせます。
一般的に、退職時の給与は、
サラリーマン人生の中で最も高い方に
なっているはずですので、上記で算出される
保険料は決して安くないはずです。
国民健康保険の場合(②の場合)の保険料の計算方法
次に、国民健康保険の保険料を調べます。
国民健康保険の保険料計算は、いろいろな
サイトで自動計算することができます。
例えばここです。→国民健康保険計算機
注意が必要なのは、国民健康保険の場合
扶養家族も支払う必要があることです。
3人家族なら3人分計算して合算する
必要があります。
また、退職後1年目と2年目では、
2年目の方が所得額が減ることが多いため、、
1年目は会社の健康保険が得で
2年目は国民年金保険が得になる場合も
よくあるようです。
その場合は、2年目に切り替わる前に
再度、どちらにするか選択できますので
その時に忘れずに国民健康保険に切り替え
ましょう。
保険料を最小化するにはどうするか
上記の計算方法によって、現時点どちらの
保険の方が得なのかはわかりますが、
これを更に、事前に対策することで最小化
できないか考えます。
どちらの保険料にも共通していることは、
退職時の収入によって、
保険料が変わってくることです。
従って、保険料を最小化するには、
保険料計算のもととなる退職時の収入額を
できるだけ少なくすることになります。
会社の健康保険を継続する場合は、
会社の給与額をもとに計算されてしまいます
から、これを何かの手段で少なくすることは
困難です。退職直前の高い給与がもとになり、
高額な健康保険料を支払うことになります。
健康保険料に上限がある会社もありますが、
私の場合は上限約48万円/年と高額でした。
しかも、この保険料が2年間採用される
ことになります。
一方、国民健康保険に切り替えた場合、
前年の所得額をもとに計算されますから、
前年の所得額を少なくすることで保険料を
下げることは可能です。
退職を控えた方が所得を下げる手段には
以下の方法があります。
経営セイフティ共済を利用する
サラリーマンのうちに副業を開業すれば、
経営セイフティ共済に加入して共済金を
支払うことで退職前の所得を一旦減らし、
退職後の所得として先送りすることが
できます。支払った共済金は、加入から
40か月経てば、100%帰ってきます。
サラリーマンの経営セイフティ共済の
加入条件は以下です。
・開業届を出してから1年以上
・副業の事業からの所得があること
・会社員の仕事と副業の事業が異ること
最大460万円/年の所得控除が可能に
なります。
詳しくは→こちらを参照ください。
近年、政府の方針もあり、副業が禁止
されている会社は少なくなっています。
私の勤めていた会社も一応禁止されて
いましたが役員がビル賃貸をやっている
と聞き、自分も不動産賃貸業を開業し
ました。確定申告も毎年実施していて、
問題になったことはありませんでした。
会社によってルールが違うかもしれませんが、
副業の種類によっては許可される場合もある
と思いますので、会社に聞いてみることを
おすすめします。(法律違反ではないので
会社にばれないようにやるという手もある
と思います。ただし自己責任でお願いします)
子供の国民年金を支払う
子供がまだ学生である場合は、国民年金
を免除してもらっているかもしれませんが、
これを親が支払うことにより、その金額が
所得から控除されます。
iDeCo掛け金を最大にする
iDeCoを実施していない人は、iDeCoの掛け金
を上限にすることでその金額を所得から控除
することができます。2024年12月から
拠出額が変更になり、人によってはiDeCoへの
拠出額を増やすことができ、いままでより
多くの所得控除が見込めます。
海外赴任中なら退職直前に帰国して退職する
これは、海外赴任している方のみに可能な
方法です。海外赴任中なら日本の非居住者
ですので、日本での会社からの所得はない
ことになります。帰国後にすぐ退職して
国民健康保険に切り替えれば、前年の国内
所得額を基準に国民健康保険料が計算され
ますから、会社以外からの所得もなければ、
その年の健康保険料は非常に安く抑えられます。
私も海外赴任をしていましたので、この方法を
とりました。
保険料以外の保険制度の違いも検討する
会社の健康保険と国民健康保険では、
保険制度に違いがあります。
医療費の負担については、
本人3割負担はどちらも同じですが、
その3割負担が高額だった場合の給付金に
差があります。
国民健康保険の給付金制度である
高額療養費制度については、→こちら
を参照してください。
また、各会社の健康保険組合が独自に
実施している制度もあります。
歯科検診、人間ドッグ、がん検診などの
費用補助、保養所などの施設利用補助
健康支援プログラム、健康相談コーナー
の設置などです。
これらの保険制度の違いをきちんと把握して、
保険料の違いも考え合わせて、どちらを
選択するか決める必要があります。
私の場合は、国民健康保険にすると
保険料をほぼ最低レベルにできることで
その金額のメリットが会社独自の保険事業
のメリットを補って余りあると判断し、
国民健康保険への切り替えを選択しました。
まとめ
いままで説明してきたように、
会社の健康保険を継続した方が安いか、
国民健康保険に切り替えた方が安いかは
各人の状況に応じて変わってくるため
事前にシミュレーションをして金額を算出し
安い方を選択することになります。
また、会社の健康保険は最大2年間継続でき、
1年目と2年目の金額は変わりませんが、
国民健康保険は1年目と2年目の所得額の
違いによって保険料が変わってきますので、
1年目と2年目の両方の保険料を
シミュレーションして会社の健康保険継続の
保険料と比較して決める必要があります。
保険料を比較する際には、
繰り返しになりますが、
会社の健康保険の場合は、扶養されている
家族は支払う必要はありませんが、
国民健康保険料は扶養されている家族も
支払う必要がありますので、家族の合計額を
計算しどちらが得か比較してください。
保険料以外の保険制度の違いも検討する
必要があります。会社の健康保険組合に
聞けば、違いについて詳しく説明して
もらえると思います。
保険料と保険制度の違いを両方把握した
うえでどちらにするか選択することを
おすすめします。
また、副業の開業はできれば退職前に
実施したほうが良いと思います。
そうすれば、2年目の所得もある程度正確に
シミュレーションすることができますし、
所得を最小限に抑える対策も余裕をもって
実施することができます。
この記事が、皆さんの退職時の健康保険選択
のお役にたてればうれしいです。