退職を迎える年には、
通常の給料に加えて退職金や社内積立の
解約などにより特別な所得が発生します。
これによって、所得税や住民税が
大幅に高くなってしまう可能性があります。
退職した後はそれまで勤めていた会社からの
給与が途絶えてしまうわけですから、
退職年はできるだけ多くのお金を
確保しておきたいところです。
そのためには、
退職する前に適切な準備をしておき、
確定申告をすることによって、
税金を極力抑えることが必要です。
この記事では、
最近退職した私自身の経験を踏まえ
退職する年の確定申告で税金を抑える方法
をいくつか紹介します。
この記事を読んで事前準備をしておけば、
退職年に余分な税金を支払わなくて済み、
あなたの稼いだ大切なお金を
退職後の暮らしに充当することが
できるようになりますので、
是非最後まで読んでみてください。
退職する年の税金を抑える方法
退職年に受け取る退職金を極力退職所得控除の範囲内にする
退職金は、一定の条件を満たせば、
退職所得控除という特別な控除が
受けられます。
この退職所得控除額には、税金が
かかりません。
退職金控除の金額は、
自分の勤続年数によって決まります。
これを計算して、
退職年にもらう退職金の一時金の額を
退職所得控除内に調整することが重要です。
ここでいう退職金とは、
会社を辞めるときに受け取る
一時金のうち退職所得となるものです。
退職所得として、
退職所得控除の対象となる所得の種類には
以下のようなものがあります。
①適格退職年金契約に基づき支給される
退職一時金
②確定給付年金の一時金
③確定拠出年金の一時金
上記①は通常全額一時金受け取りとなり、
②③は、一時金と年金原資とに分割する
ことが可能です。
この時に、一時金を自分の退職所得控除額
より多く受け取ってしまうと、
退職所得控除額を超えた部分に、
所得税と住民税がかかってしまいます。
退職前に自分の退職所得控除額を計算し、
退職金がその額を超えないようにすれば、
退職一時金に税金はかかりません。
退職金控除の計算方法は、
以下の国税庁のURLを参照してください。
また、実際の計算には計算サイトがあります。
以下のリンクをご利用ください。
→退職所得控除計算方法(国税庁のURL)
→退職所得控除計算サイト
退職金は長い老後生活に向けた大切な資産です。
節税することで受け取れる金額を増やし、
有効に活用してください。
尚、退職所得は分離課税で、
他の所得と合算されて税率計算はされません
ので退職金に関しては、一時金受け取り額を
退職所得控除内に抑えれば他にやることは
ありません。
退職前に個人事業を立ち上げ、開業経費を所得から控除する
退職後に個人事業を始める予定がある場合は、
退職前に個人事業を立ち上げることで、
税金を節約することができます。
個人事業主は、
開業時に必要な経費や備品などを
所得から控除することができます。
これらの経費や備品は、
開業日から6か月以内に購入したものであれば、
その年の所得から全額控除することができます。
例えば、パソコンやプリンターなどの備品や、
事務用品や広告費などの経費を
開業日から6か月以内に購入した場合は、
その額をその年の所得から引くことができます。
これによって、所得税や住民税の負担を
軽減することができます。
個人事業主が入れる経営セイフティ共済に入り、その額をその年の所得から控除する
個人事業主は、
それがサラリーマンの副業であっても
経営セイフティ共済という制度に
加入することができます。
これらは、
個人事業主としての老後や災害時などに
備えるための保険制度です。
加入すると、毎月一定額の保険料を
支払う必要がありますが、
その保険料はその年の所得から
控除することができます。
また、保険料は自分で決めることが
できるため、自分の収入や支出に合わせて
調整することが可能です。
サラリーマンの経営セイフティ共済の
加入条件は以下です。
・開業届を出してから1年以上
・副業の事業からの所得があること
・会社員の仕事と副業の事業が異ること
最大460万円/年の所得控除が可能に
なります。
詳しくは→こちらを参照ください。
子供の国民年金を支払い、その分を所得から控除する
国民年金対象者とは、
学生や無職などの方で、
厚生年金や公務員年金などに
加入していない方です。
このような方の国民年金保険料は、
親が支払うことができます。
そして、その支払額はその年の所得から
控除できるので、税金を減らすことが
できます。ただし、この方法は対象者が
扶養家族に該当する場合に限ります。
お子さんが大学生で、
国民年金の支払い義務が発生している
場合には、これに当てはまりますので
自分が支払うことで、所得額を減らす
ことが可能です。
そのほかにも、
所得控除できる手段はあります。
例えば、医療費控除や寄付金控除などです。
医療費控除は、自分や扶養家族の医療費が
一定額以上になった場合に適用される制度で、
その医療費から一定額を差し引いた額を
所得から控除できます。
退職年に、金額のかさむ歯の治療や
やっておいた方がよい人間ドッグなど
医療費がかさむものを集中的に実施すれば、
健康と節税を効率よく手に入れることが
できて一石二鳥です。
寄付金控除は、
ふるさと納税を税額控除上限額範囲内で
実施すれば、寄付した金額分所得控除が
受けられ、寄付額から2千円を引いた額が、
翌年の住民税から税額控除されます。
2千円の出費で、所得税の軽減ができ、
返礼品をもらえるのですから
活用しない手はありません。
ただし、退職年度の所得は、
前年度と大きく変わる場合があるので、
上限額の計算には注意が必要です。
まとめ
以上、退職年に確定申告で
税金を抑える方法を紹介しました。
退職年は所得が多くなり、
税金が高くなりがちですが、
上記のような方法を活用することで
うまく節税することができます。
ただし、退職1年以上前から、
準備を進めておくことが必要です。
この記事の内容が、
退職年とその後の暮らしを豊かにする
助けになれば幸いです。